なぜ、和訳の力が必要なのか?
塾教室の講師を務めていた時の話です。
「先生、長文が読めないんですけど…」
1人の女子生徒が私の前に相談にやってきました。
「現時点でどれくらい読めているんだろう」
そう思った私は、一緒に文章を読んでみることにしました。
しかし、彼女の様子をみると、長文がスラスラ読めないのではなく、
そもそも英語の1文1文がちゃんと読めていない様子でした。
長文を読むためにはまずは1文をしっかり読めるようにならないといけない
当たり前といえば、当たり前の話ですが、
意外と気づけていない人が多いんじゃないかと思いました。
確かに受験生にとって長文を読めるようになる、というのは1つの大きな目標ではあります。
しかし、物事には順序があります。
長文を読めるようになるためには、まずは1つの文章をしっかりと読めるようにする。
森を見るためにはまずは目の前の木をしっかり見られるようになる必要があるのです。
さて、では一文を読めるというのは具体的にどういうことでしょうか?
それが、「和訳」です。
和訳は、その文章がきちんと把握できているか調べるのに最適なツールです。
それだけではありません。
和訳は東大で25年以上、毎年出題されているテーマでもあります。(約12点)
つまり、和訳の力を鍛えることで、
長文読解の基礎を作れるだけでなく、東大の入試にも活きる力がつけられるのです。
では、和訳をする時にどんな部分に注意を払えばいいのでしょうか?
和訳をする上で絶対チェックすべき3つのポイント

和訳する上で、一番大事にして欲しいのが
3Cと呼ばれるものです。
・Construction(構造)
・Core Meaning(コアの意味)
・Context(文脈)
1つ目のConstruction(構造)ですが、これはSVOCなどの文章の構造をしっかり分析することです。
これが出来ないと、全体の意味が取れずに崩壊してしまうので、
まずは和訳する際には、
・どれが主語でどれが動詞か
・andやorは何と何を繋いでいるのか
・どこからが関係代名詞になっていて、どこにかかっているのか
など、しっかりと自分で構造を分析することが重要です。
2つ目はCore Meaning(コアの意味)ですが、これは言葉のコアな意味を捉えて和訳するということです。
例えば、individual(個人)という言葉はin(否定)-divide(分ける)
という言葉でできています。つまり、individualとは「これ以上分けられない最小の単位」だから「個人」と訳されているわけです。
例えば、文脈によってどう考えても「個人」と訳したら不都合な場合があったらどうしますか?
そんな時は、この「これ以上分けられない最小単位」というニュアンスをこの文脈で反映させるにはどんな言葉が適切なんだろう?と考えながら訳すことが大事です。
Core Meaning(コアな意味)に関しては「東大生の単語の覚え方」でも解説しているので、是非こちらもご覧になってみてください。
3つ目、最後はContext(文脈)ですが、これは文脈に応じて訳語を選ぼうということです。
当たり前に聞こえる話なのですが、これができていない人がなかなか多いです。
先日の話ですが、生徒の和訳をチェックしていた際にテーマが環境問題でした。
その中で、soil and climateという部分の訳を「土地と気候」と訳していました。
環境問題で、soilと言えば、soil pollution(土壌汚染)などで使われる場合がほとんどなので、soilは「土壌」と訳すべきでしょう。
さらに並べて言及されている言葉がclimate(気候)なわけですから、
明らかに「土地」と訳語は不適切なはずです。
このようにちゃんと意識をしていないと、意外と適切な訳語を考えて使うというのは難しいものです。
以上、和訳でチェックすべきポイントについて話しましたが、
次は実際にどうやって和訳の力をつけていけば、いいかオススメの参考書を3つご紹介します。
和訳にオススメな3つの参考書(レベル別)
①ポレポレ 英文読解プロセス50(西きょうじ・代々木ライブラリー)
英文和訳のエッセンスが詰まった入門的な一冊です。和訳の基礎を例題を通して学べるので単語と文法を一通りマスターした人はこれから取り組んでみることをオススメします。
②英文読解の透視図(篠田重晃・玉置全人・中尾 悟 研究社)
スタンダードな和訳の問題集です。この2冊を完璧にすれば少なくとも和訳で困ることはほぼなくなるはずです。個人的には、ポレポレか透視図はどちらかで良いと思っているので、どちらもやって良いし、コツが掴めた人はどちらか一方でも良いと思います。
③英文解釈教室(伊藤和夫・研究社)
かなり実戦・発展的な和訳の問題集です。分量も多く、内容も難しいものがあるので、和訳でコンスタントに満点を目指す人に向いています。私はこの1冊を浪人時代に仕上げて以降、和訳で満点を逃したことはほぼなくなりました。和訳の仕上げの一冊と言って良いでしょう。
まとめると
まとめると、和訳を鍛えることは
長文読解の基礎力や、実際に東大の英語の点数アップに非常に有効です。
そして、和訳をする際には
・Construction(構造)
・Core Meaning(コアの意味)
・Context(文脈)
の3Cをきちんと意識すること、そしてオススメの3つの参考書で演習を重ねることが大事です。
でした。
英語の日々の学習に役立ててほしいなと思います。
また読んでいただけたら幸いです。
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